差別と友情「夜の大捜査線」
2008年11月04日
「夜の大走査線」1967年アメリカ 監督ノーマン・ジェイソン
主演シドニー・ポワティエ、ロッド・スタイガー、ウォーレン・オーツ
音楽クインシー・ジョーンズ
第40回アカデミー作品賞、主演男優賞(ロッド・スタイガー)、脚本賞(脚色部門:スターリング・シリファント)、音響賞(サミュエルゴールドウィン撮影所サウンド部)、編集賞(ハル・アシュビー)を受賞した。また2002年米国連邦国会図書館が、アメリカ国立フィルム登記簿に新規登記された作品である。
物語は・・・・
アメリカ南部の小さな駅に夜行列車からひとりの黒人(シドニー・ポワティエ)が降り立った。
町では折しも有力者の殺人事件が発生。
パトカーの警官がうだるような熱帯夜のなかを巡回していた。
人種偏見の強い地方であるがゆえに、「よそ者」の黒人は逮捕され、署長(ロッド・スタイガー)の前に突き出されてしまう。
しかし、あからさまな侮蔑と嫌悪にさらされている男こそ、フィラデルフィア警察の敏腕刑事ヴァージル・ティップスだった。
滅多にない大事件に手を焼く田舎町の警察は、屈辱感を覚えつつも都会のベテラン刑事ヴァージルに捜査協力を依頼する。
白人署長は頑固で無能な差別主義で、ヴァージルと地元警察との連携を邪魔するのだった。
だが捜査を続けていくうちに二人の間に連帯感が生まれる。そして事件はようやく解決し、ヴァージルと署長との間にはなぜか奇妙な友情のようなものが生まれていた。
ヴァージルが町を去る日、駅には彼を見送る署長の姿があった。
ディープサウスと呼ばれるアメリカ南部の人種差別の激しい地域では、
現在でも法律や制度ではまったく問題なくても、
昔からそこにいる住民には理屈でなく生理的にぬぐいきれない人種の壁があるのだ。
西洋人の人種差別観は日本人には想像できない、宗教的信念みたいなものがある。
白人から見れば有色人種など人間に入らないのだ。
ましてや黒人は牛馬とまったく同じ家畜でしかない。
またそういう観点から奴隷貿易が行われて来た。
そういう歴史的背景の中で、フィラデルフィア警察から来たインテリのエリート刑事に、
南部の田舎者のうだつの上がらない警察署長が、
殺人事件の捜査に頭を下げなければならなくなった。
おそらく署長にしてみれば家畜に土下座するような感覚だったのだろう。
もちろんヴァージルにとっても不愉快な話であるが、
警察の上司からの依頼もあり引き受けざるを得なくなる。

この相反する強烈な個性が火花を散らす。
頑固な人種差別主義者の署長も、
次第にヴァージルの人柄に尊敬の念を抱き始める。
署長は独身で、頑固者のため友人もいない。
町の人からは敬遠されているので、
彼の家には誰も訪ねてこない。
しかし署長はヴァージルを招きいれ、酒を振舞うのだった。
この映画はサスペンス仕立てで展開していくが、やはりシドニー・ポワティエと頑固署長のロッド・スタイガーとの
名優ならではの心理描写が見ものだ。
とくにロッド・スタイガーの署長がいつもイライラしながら、苦虫を噛み潰した顔でガムを噛んでいるのが印象的だ。
黒人であり常に差別を受けてきたヴァージルは決して卑屈にならず、どんな有力者の前でも毅然としている。しかもインテリの敏腕刑事である。
水と油の間柄の二人に通じ合う心模様の展開が興味深い。
ラストシーンは再び最初の駅である。
ヴァージルのお陰で無事殺人事件が解決した。
署長はヴァージルのスーツケースを持ってやり、
そして初めて笑顔をみせて感謝の意を表すのだ。
シドニー・ポワティエは黒人俳優では初のアカデミー主演男優賞を獲得した名優であるが、彼の活躍した時代は今よりももっと人種差別が酷い時代だった。
そのせいか彼の出る作品も人種差別をテーマにしたものが多い。
「招かねざる客」、「手錠のままの脱獄」、「野のばら」などすべて名作である。
現在の黒人ハリウッドスターの代表であるデンゼル・ワシントンも「トレーニング・デイズ」でアカデミー賞を受賞したが、授賞式のとき、シドニー・ポワティエに向けて「僕はあなたを目標に頑張ってきました。あなたに次いでアカデミー賞をもらえたことを感謝します。」とスピーチした。私はこれをTVで見ていたが、感動的であった。
この作品はTVでも何度も放映されたが、さすが名作は何度見ても飽きが来ない。
話の展開がわかっていても、わくわくする緊張感と画面に釘付けになる面白さがある。
主演シドニー・ポワティエ、ロッド・スタイガー、ウォーレン・オーツ
音楽クインシー・ジョーンズ
第40回アカデミー作品賞、主演男優賞(ロッド・スタイガー)、脚本賞(脚色部門:スターリング・シリファント)、音響賞(サミュエルゴールドウィン撮影所サウンド部)、編集賞(ハル・アシュビー)を受賞した。また2002年米国連邦国会図書館が、アメリカ国立フィルム登記簿に新規登記された作品である。
物語は・・・・
アメリカ南部の小さな駅に夜行列車からひとりの黒人(シドニー・ポワティエ)が降り立った。町では折しも有力者の殺人事件が発生。
パトカーの警官がうだるような熱帯夜のなかを巡回していた。
人種偏見の強い地方であるがゆえに、「よそ者」の黒人は逮捕され、署長(ロッド・スタイガー)の前に突き出されてしまう。
しかし、あからさまな侮蔑と嫌悪にさらされている男こそ、フィラデルフィア警察の敏腕刑事ヴァージル・ティップスだった。
滅多にない大事件に手を焼く田舎町の警察は、屈辱感を覚えつつも都会のベテラン刑事ヴァージルに捜査協力を依頼する。
白人署長は頑固で無能な差別主義で、ヴァージルと地元警察との連携を邪魔するのだった。
だが捜査を続けていくうちに二人の間に連帯感が生まれる。そして事件はようやく解決し、ヴァージルと署長との間にはなぜか奇妙な友情のようなものが生まれていた。
ヴァージルが町を去る日、駅には彼を見送る署長の姿があった。
ディープサウスと呼ばれるアメリカ南部の人種差別の激しい地域では、
現在でも法律や制度ではまったく問題なくても、
昔からそこにいる住民には理屈でなく生理的にぬぐいきれない人種の壁があるのだ。
西洋人の人種差別観は日本人には想像できない、宗教的信念みたいなものがある。
白人から見れば有色人種など人間に入らないのだ。
ましてや黒人は牛馬とまったく同じ家畜でしかない。
またそういう観点から奴隷貿易が行われて来た。
そういう歴史的背景の中で、フィラデルフィア警察から来たインテリのエリート刑事に、
南部の田舎者のうだつの上がらない警察署長が、
殺人事件の捜査に頭を下げなければならなくなった。
おそらく署長にしてみれば家畜に土下座するような感覚だったのだろう。
もちろんヴァージルにとっても不愉快な話であるが、
警察の上司からの依頼もあり引き受けざるを得なくなる。

この相反する強烈な個性が火花を散らす。
頑固な人種差別主義者の署長も、
次第にヴァージルの人柄に尊敬の念を抱き始める。
署長は独身で、頑固者のため友人もいない。
町の人からは敬遠されているので、
彼の家には誰も訪ねてこない。
しかし署長はヴァージルを招きいれ、酒を振舞うのだった。
この映画はサスペンス仕立てで展開していくが、やはりシドニー・ポワティエと頑固署長のロッド・スタイガーとの名優ならではの心理描写が見ものだ。
とくにロッド・スタイガーの署長がいつもイライラしながら、苦虫を噛み潰した顔でガムを噛んでいるのが印象的だ。
黒人であり常に差別を受けてきたヴァージルは決して卑屈にならず、どんな有力者の前でも毅然としている。しかもインテリの敏腕刑事である。
水と油の間柄の二人に通じ合う心模様の展開が興味深い。
ラストシーンは再び最初の駅である。
ヴァージルのお陰で無事殺人事件が解決した。
署長はヴァージルのスーツケースを持ってやり、
そして初めて笑顔をみせて感謝の意を表すのだ。
シドニー・ポワティエは黒人俳優では初のアカデミー主演男優賞を獲得した名優であるが、彼の活躍した時代は今よりももっと人種差別が酷い時代だった。
そのせいか彼の出る作品も人種差別をテーマにしたものが多い。
「招かねざる客」、「手錠のままの脱獄」、「野のばら」などすべて名作である。
現在の黒人ハリウッドスターの代表であるデンゼル・ワシントンも「トレーニング・デイズ」でアカデミー賞を受賞したが、授賞式のとき、シドニー・ポワティエに向けて「僕はあなたを目標に頑張ってきました。あなたに次いでアカデミー賞をもらえたことを感謝します。」とスピーチした。私はこれをTVで見ていたが、感動的であった。
この作品はTVでも何度も放映されたが、さすが名作は何度見ても飽きが来ない。
話の展開がわかっていても、わくわくする緊張感と画面に釘付けになる面白さがある。
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