日本アニメの原点・絵巻物
2008年11月23日
先回に「時間を描いた未来派」というエントリをしたが、
考えてみれば日本の古代に既に時間を描いた絵画が存在したのだ。
絵巻物である。
絵巻の原点は奈良時代の「絵因果経」であると言われる。
これは、釈迦の前世における善行から現世で悟りを開くまでの伝記を説いた経典であり、
これに絵を描き加えて、釈迦の生涯を分かりやすく伝える手段として、
作成されたのが絵因果経である。(ウィキペディアより)
この考え方は西洋の教会壁画やステンドグラス絵画と同じ発想である。
絵巻物とは日本独自の絵画形式で横長の画面が水平に延長し、右から左へと時間の推移に従って画面の展開がなされていく絵画形式である。今で言うアニメーション的絵画の原点である。ただし巻絵としての横長形式のものは古代中国やエジプトにもあるが、時間の経緯を一枚に表す形式は日本だけである。長さはまちまちで決まっていないが、10メートル前後のものが多いといわれる。
絵巻物は平安時代に盛んになり、このころ藤原氏の摂関政治の興隆に伴ない、華麗な王朝文学や芸術が大流行して中国からの影響から独立した国風化が進む。ちなみにこのころの女流文学である紫式部の「源氏物語」や清少納言の「枕草子」などは世界最古の女流文学である。世界的に見ても1000年も前に、女性が文学作品を創作した文明は日本だけのものである。しかもその文学性の格調の高さも類例を見ないほど素晴らしいものである。

絵巻物は王朝文学の「動画的表現」を実現したのだ。代表的なものに「源氏物語絵巻」がある。上の絵は二枚とも源氏物語の「柏木三」の場面であるが左上が原本で上は現代に復元させたものである。実に華麗な美しさがうかがえる。


絵巻物の最高傑作といわれるものに「伴大納言絵詞(絵巻)」がある。この作品は平安時代末期の後白河院政期に成立した絵巻ものであり、「応天門の変」から300年後、後白河法皇が常磐光長に描かせたものと言われている。この作品は平安時代の人々の様子などが克明に描かれており、当時を知るための資料としての歴史資料としての価値も高い。



ここにあげた三枚の絵は「信貴山縁起絵巻」という平安時代後期の作である。絵巻の内容は信貴山の中興である命蓮を主人公とした霊験譚で、やまと絵の手法で描かれているが、白描も多く用いられ人物の動きが表情豊かにまた躍動的に表現されている。特に個々の表現には漫画的手法が見られる。三枚目の剣鎧護法(けんがいごほう)童子 の前に転がる「法輪」の表現は、イタリアの未来派のジャコモ・バルラの犬の走る作品を思い出させる。

源氏物語絵巻など多くの絵巻物は極色彩のやまと絵の表現で描かれたものが多いが、ここにあげた鳥獣戯画絵巻は「白描」または「白線描」と呼ばれる墨の線描きのみで表現されている。普通は殆ど人物が主体に描かれているが、動物が主人公の物語絵巻である。

ここにはウサギ,カエル、サル、ネコなどが擬人化されて生き生きと描かれており、さらに馬、牛、犬、鶏や、麒麟・獅子・竜・獏など架空の動物なども描かれて、さながら博物図鑑にも見える。

まさに鳥獣戯画は漫画とアニメーションの原点である。
『源氏物語絵巻』・『伴大納言絵巻』・『信貴山縁起』・『鳥獣人物戯画』を、日本の四大絵巻物という。
これらの絵巻物に共通する時間表現を「異時同図法」といい、異なる時間の経過を同じ画面に取り入れて表現している。ヨーロッパのキリスト教絵画でもキリストの生誕物語や、聖書の物語などを描いたものがあるが、基本的に「同時同図法」で表現されており、一枚一枚の絵の継ぎ足しの連続で時間の経過を表している。漫画のコマ割表現と同じ手法である。絵巻物に見られる「異時同図法」は中国にもヨーロッパにもなく日本独自の絵画空間における時間表現である。
現在日本のアニメーションや漫画は既に世界文化になっている。アニメーションはどちらかといえばアメリカのウォルト・ディズニーが元祖のように言われてきたが、今では手塚治にはじまり、宮崎駿、大友克洋らが世界的にも活躍しており、日本のサブカルチュアの代表的存在になっている。このことも1000年以上の日本の伝統に裏打ちされた文化の結晶ともいえるのではないだろうか。
考えてみれば日本の古代に既に時間を描いた絵画が存在したのだ。
絵巻物である。
絵巻の原点は奈良時代の「絵因果経」であると言われる。
これは、釈迦の前世における善行から現世で悟りを開くまでの伝記を説いた経典であり、
これに絵を描き加えて、釈迦の生涯を分かりやすく伝える手段として、
作成されたのが絵因果経である。(ウィキペディアより)
この考え方は西洋の教会壁画やステンドグラス絵画と同じ発想である。
絵巻物とは日本独自の絵画形式で横長の画面が水平に延長し、右から左へと時間の推移に従って画面の展開がなされていく絵画形式である。今で言うアニメーション的絵画の原点である。ただし巻絵としての横長形式のものは古代中国やエジプトにもあるが、時間の経緯を一枚に表す形式は日本だけである。長さはまちまちで決まっていないが、10メートル前後のものが多いといわれる。絵巻物は平安時代に盛んになり、このころ藤原氏の摂関政治の興隆に伴ない、華麗な王朝文学や芸術が大流行して中国からの影響から独立した国風化が進む。ちなみにこのころの女流文学である紫式部の「源氏物語」や清少納言の「枕草子」などは世界最古の女流文学である。世界的に見ても1000年も前に、女性が文学作品を創作した文明は日本だけのものである。しかもその文学性の格調の高さも類例を見ないほど素晴らしいものである。

絵巻物は王朝文学の「動画的表現」を実現したのだ。代表的なものに「源氏物語絵巻」がある。上の絵は二枚とも源氏物語の「柏木三」の場面であるが左上が原本で上は現代に復元させたものである。実に華麗な美しさがうかがえる。


絵巻物の最高傑作といわれるものに「伴大納言絵詞(絵巻)」がある。この作品は平安時代末期の後白河院政期に成立した絵巻ものであり、「応天門の変」から300年後、後白河法皇が常磐光長に描かせたものと言われている。この作品は平安時代の人々の様子などが克明に描かれており、当時を知るための資料としての歴史資料としての価値も高い。



ここにあげた三枚の絵は「信貴山縁起絵巻」という平安時代後期の作である。絵巻の内容は信貴山の中興である命蓮を主人公とした霊験譚で、やまと絵の手法で描かれているが、白描も多く用いられ人物の動きが表情豊かにまた躍動的に表現されている。特に個々の表現には漫画的手法が見られる。三枚目の剣鎧護法(けんがいごほう)童子 の前に転がる「法輪」の表現は、イタリアの未来派のジャコモ・バルラの犬の走る作品を思い出させる。

源氏物語絵巻など多くの絵巻物は極色彩のやまと絵の表現で描かれたものが多いが、ここにあげた鳥獣戯画絵巻は「白描」または「白線描」と呼ばれる墨の線描きのみで表現されている。普通は殆ど人物が主体に描かれているが、動物が主人公の物語絵巻である。

ここにはウサギ,カエル、サル、ネコなどが擬人化されて生き生きと描かれており、さらに馬、牛、犬、鶏や、麒麟・獅子・竜・獏など架空の動物なども描かれて、さながら博物図鑑にも見える。

まさに鳥獣戯画は漫画とアニメーションの原点である。
『源氏物語絵巻』・『伴大納言絵巻』・『信貴山縁起』・『鳥獣人物戯画』を、日本の四大絵巻物という。
これらの絵巻物に共通する時間表現を「異時同図法」といい、異なる時間の経過を同じ画面に取り入れて表現している。ヨーロッパのキリスト教絵画でもキリストの生誕物語や、聖書の物語などを描いたものがあるが、基本的に「同時同図法」で表現されており、一枚一枚の絵の継ぎ足しの連続で時間の経過を表している。漫画のコマ割表現と同じ手法である。絵巻物に見られる「異時同図法」は中国にもヨーロッパにもなく日本独自の絵画空間における時間表現である。
現在日本のアニメーションや漫画は既に世界文化になっている。アニメーションはどちらかといえばアメリカのウォルト・ディズニーが元祖のように言われてきたが、今では手塚治にはじまり、宮崎駿、大友克洋らが世界的にも活躍しており、日本のサブカルチュアの代表的存在になっている。このことも1000年以上の日本の伝統に裏打ちされた文化の結晶ともいえるのではないだろうか。
この記事へのトラックバックURL
http://ryotaroneko.ti-da.net/t2197471


日本の地域ブログ大集合!津々浦々の美味い・楽しいがここに!