アフガンの民主化を夢見た日米欧の幻想

トラネコ

2021年08月27日 13:00

バイデン米政権のアフガン政策に批判高まる 米世論は変わるのか
アフガニスタンの反政府勢力タリバンは電光石火で国中を席捲し、15日にはついに首都カブールに入り大統領府を押さえた。その猛攻を受けてアメリカでは、軍や政界、アフガニスタン系アメリカ人の間で、駐留米軍を急ぎ撤退させたジョー・バイデン大統領への批判が高まっている。しかし、国民の大多数は、バイデン大統領の判断を支持しているようだ。今のところは。

ハディア・エッサザダ氏は、タリバンが自宅にやって来たときの恐怖体験を語り、涙した。タリバンはまず父親を殴打し、続いて彼女の兄を殺した。

「兄を探していたので、まず父を鉄の棒で殴った」のだと、エッサザダ氏はBBCペルシャ語に話した。彼女の兄は、1990年代にタリバン支配に抵抗して戦った闘士だった。

家族は北部マザーリシャリーフの自宅からいったん逃げ出したが、「6カ月後に自宅に戻ると、タリバンがまたやってきた。そして弟を連れ去った」のだという。
BBC 2021年8月16日
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-58227157


     
              混乱のアフガン・・・米軍帰還兵は今


米軍がアフガンから撤退を始めたが、それはアフガンの崩壊と混乱を意味する。
これまで日本や欧米がアフガニスタンの再建に膨大なODA支援をしてきたが、
これが一瞬で水泡に帰す結果を招いてしまったのである。

日本政府のアフガニスタン支援は過去20年間にも及んでいる。
単に経済支援だけでなく、農業や医療、教育の整備,技術指導、育成、
道路、鉄道、空港などのインフラ整備など多岐に渡り取り組んできた。

日本政府は2002年から2020年までアフガニスタンに対して、
総額約70億ドル(約7700億円)ODA援助を与えてきた。
2019年、日本の対外無償援助で1億2000万ドルの支援をした。

菅政権は2020年11月ジュネーブで開かれたアフガニスタン支援の会合に、
茂木敏充外務大臣がビデオ参加して、2021年から2024年までの4年間、
アフガニスタンに毎年1億8000万ドルの経済援助を続けると宣言した。

日本の援助は国際的援助活動としては世界に誇るべきものである。
しかしそれらはタリバンのアフガン制圧ですべて無駄になってしまった。
その原因はアメリカのバイデン政権のアフガン撤退である。

<参考記事>
莫大な援助が水の泡、アフガニスタン崩壊が日本に与えた衝撃
JBPRESS 2021.8.25(水)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66630?utm_source=editor&utm_medium=mail&utm_campaign=link&utm_content=top
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66630?page=2
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66630?page=3






ここで我々が「常識」と考えている重要な事を考えてみたい。

我々近代文明の洗礼を受けた日本や欧米先進国にとって、
民主主義は理想の政治形態だと錯覚しているという点だ。
理想とは言わないまでも、現存する政治思想でベターだと思っている。

私もそう思う人間であり、近代文明の恩恵を受けた国は、
民主主義という政治体制が最も民意を反映しやすいと考える。
アメリカは建国の理念も自由と民主主義という思想である。

西欧では古代アテネの民主制から始まり宗教戦争を経て啓蒙思想に至り、
幾多の人的・物的犠牲を経験しながら、徐々に育成されてきた思想である。
日本は古代から既に民主政治の思想があったのは十七条憲法でもわかる。

つまり民主主義という政治思想は各国の歴史的経緯から、
各国民が選んだその国におけるもっとも適合した思想
である。
という事は、歴史的経緯の異なる国や民族には別の思想があるのだ。

そして民主主義というのはその地域や国に住む人々の生存権を第一の基本に、
住民がより暮らしやすく豊かに自由に共存し発展できるシステム
という思想が、
その根底にあるのである。



            人口だけでみれば民主主義国家の方が少ない。


ところが現実に民主主義は世界の常識ではないのである。

私は以前あげたエントリのなかで世界の国々の中には、
平和や人権や民主主義よりも重要な価値観を信じている、
そんな社会や人々が存在している
事を述べた。

まさにイスラム教がそれの一つに当たる思想である。
特にイスラム原理主義と呼ばれる一神教の宗教概念には、
民主主義は神の意思に反する邪悪な思想であると位置づけている。

イスラム原理主義にとって、アッラーの教えを実践することこそ正義であり、
人命も平和も一切の「障害」を犠牲にすることを厭わない宗教(思想)なのだ。
つまり共産主義と同じ教条主義イデオロギーの一つとみてよい。

<参考エントリ>
世界には人権・人命・平和よりも大事な思想がある!?
https://ryotaroneko.ti-da.net/e5810320.html





つまり我々自由民主主義の国民は、それを悪と考える国民に、
無理やり民主主義や人権の思想を押し付けていないだろうか?

むしろ自由民主主義が至高のイデオロギーと考えていないだろうか?

イスラムにはイスラムの価値観があり、彼らはその価値観の中で千数百年を過ごし、
或いは、イスラム教に基づく国家理念における政策を現在でも続けてきたのである。

それを人権弾圧だとか、非民主的だと非難する事自体が間違いなのではないだろうか?

これは共産主義者が自由民主主義を否定する思想とまったく同じである。
共産党政権の国々で民主主義政治はひとつも存在しなかった事実がある。
だからこそ日本共産党の「民主主義」は大嘘、詐欺なのである。

逆に我々民主主義国家の人間は民主主義を最上のものと考え、
非民主主義政体を文明の進歩に反すると非難し、排除し、罵倒し、
そうではない国に民主主義を押し付けてきたのではないだろうか?


かつてのブッシュJr.政権やオバマ政権のように自由と民主主義を「十字軍」に重ねて、
対テロ戦争を掲げてイラク、リビア、シリアに軍事介入した結果を見ればよい。
民主主義の押し付けが、返って混乱と戦乱の混沌を招いてきたではないか。



                   それはその通りだが…
                   シナ、お前がゆーな!!!

                

タリバンによるアフガン陥落でもう一つ気が付いた事がある。
やはり国家を守るためには武力と国防の気概が必要だということだ。
首都陥落はアフガン政府軍が腐敗まみれで実に弱かった事も大きな原因なのだ。

政府軍は支援資金の汚職や中抜きが横行し、平気でタリバンに寝返り
政府軍の情報を売り飛ばす裏切り者敵前逃亡は普通だったというから、
人数や装備でタリバンを上回っていても国を守る気概がなかったのだ。

またさっさと国を捨ててタジキスタンに亡命したガニ大統領をみても、
トップからして国家を守ろうという気概がまったくないことがわかるのだ。
だからバイデン大統領も「戦う意思のない国」を守る気はないと撤退を決定した。

このことは尖閣を守る気のない日本政府と完全に重なるのである。
日本政府自身が国土を守らないくせに、尖閣有事にアメリカ頼みという、
実に虫のいい話を真面目にアメリカ政府も米軍も受け入れるだろうか?

もちろん自衛隊の士気も秩序も装備も優秀?・・・だと聞く(私はそう思う)が、
肝心の政府(与野党、官僚)が腐っており、国土防衛の意思がないなら、
結果的に戦えない「疑似軍隊」の自衛隊は有事に際し役立たずで終わるだろう。

<参考記事>
アフガン政府軍、なぜ弱かった? 米など9兆円支援、役に立たず
時事ドットコム 2021年08月16日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021081600710&g=int


          尖閣諸島を守る気のない腰抜け与野党政治屋ども
                       ↓

     
     「尖閣諸島」緊迫の洋上…中国船が執ように追尾 “漁できない”の声も
      (2021年2月17日放送「news every.」より)

                ↑
  この動画を見れば一目瞭然だが、海保の巡視船が、
  シナの海警船を排除することをまったく行っていない。
  日本固有の領土を守る意思が全くないことがわかる。



では日本や欧米先進国はどうすればよいのだろうか?
私は武力行使以外では経済制裁で何とかするより方法はないと思う。
相手がシナ人民解放軍という正規軍なら本格的軍事力でも話になる。

しかし、非対称戦争では軍事力は中途半端にしか機能しないから、
強い宗教的信念と民兵組織が発達しているタリバンやアルカイダなど、
イスラム原理主義者が多い中央アジアや中東では意味がないだろう。

結局それが原因で旧ソ連軍もムジャヒディンに敗北したのである。
ベトナム戦争におけるベトコンを偽装した共産軍に米軍も負けたのだ。
イラクやリビアなど中途半端な軍事介入ならしない方が平和が保たれるのだ。

中東の諺か格言にこういうのがあるそうだ・・・

 「一日の混乱より、百年の独裁を望む」


古来から移動を生活の主体とする大陸の遊牧民・部族社会では、
常に水や食料などの奪い殺し合いが続く闘争社会が彼らの常態なのだ。
我々農耕民族=定住民族とは全く違った価値観が宗教にもあるのだ。

 こういう地域には強力な「力」を持つ独裁者が、
 国(地域)の安定と平和が維持できるのである。


このような歴史と文化背景を持つ民族に民主主義など通用しない。
我々自由と民主主義を信奉する国家群は彼らとは経済以外には、
関わらない事が重要である。つまり内部崩壊するのを待つだけだ。




           荒涼とした中央アジアや北アフリカの環境における、
           遊牧を主体とする民族に「民主主義」は通用しない。



シナは共産主義政党の独裁国家だから政治と経済は一致しているが、
民主主義の日本で経団連やその手先の政界みたいにカネ欲しさの為に、
シナの人権弾圧に何もいえない腰抜けでは文明国とはいえないだろう。


一応、日本は人権と人命と平和を重んじる民主主義国家である。
無論、経済を重視した外交はあってもよいが民主国家としての立場から
軍事介入などはすべきではないが、いうべき事は毅然と言うべきなのだ。

シナのジェノサイドやタリバンの人権侵害には毅然と批判し、その上で、
経済関係を継続するも、或いは断絶する是々非々の政治判断が必要だ。

しかし日本の政(与野党)官財界は完全にシナの走狗と化している。

それは国防を放棄し経済重視でアメリカの核の傘で惰眠を貪り、
アメリカの安保属国に成り下がった卑しい我々国民の姿でもある。


日本はシナでも朝鮮でも一度、
侵略され国民に死者が出るまで、
国防の重要性に気付かないだろう…










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