メテペック市の特産品『生命の木』
さて、思い出せば、もう一年半くらい前になるでしょうか、
私トラネコが当時の仕事を紹介したエントリを上げて以来、
某州政府のグータラぶりで、まったく仕事が進みませんでした。
そこで現在はメキシコ中部の某州政府に移転しました。
ここは以前と180度真逆の職場、同じメキシコの公務員で、
こうも違うものかと、逆カルチュアショックを受けてしまいました。
計画性はあるは、時間はほぼ正確だわ、有言実行だわ・・・
残業代も出ないのに夜8~9時まで働いているは、
人によっては土日出勤もしているわ、何か日本みたいです(汗)
ここは本当にメキシコか???
ま、とにかくこちらに来てよかったです♪
仕事は前とほぼ似たようなもので、地域の経済開発に関わって、
民芸品職人の収入向上と地場産業の育成のお手伝いです。
マサウア族の伝統紋様をあしらったベスト
特に私の場合は、先住民文化や歴史に関心があって、
メキシコに何度も足を運んだ経験から、先住民文化への憧憬が強く、
自分もかつて職人だったこともあり、先住民の民芸品をできれば、
地場産業として発展させたいという願いがあります。
ただ今回の地域はユカタン半島のマヤ族とは異なり、
ナワトル・オトミ・マサウアなどの先住民文化がいまも健在に生きており、
言葉や生活にもその文化を反映し、伝統的民芸品も多数あります。
ユカタン半島のマヤ族は、その文化を反映した民芸品は殆どなく、
先住民としてのアイデンティティも薄れつつありましたから、
こちらに来てから改めて先住民文化の重厚さを感じました。
ウイピルという貫頭衣から発達した女性のワンピースの花柄が、
一応ユカタンマヤの伝統文様といわれますが、
これはスペイン人の持ち込んだ柄でマヤ文化とは別です。
美しい花柄の刺繍だがマヤ文明のものではない。
ユカタン・マヤの為に、刺繍や新商品のデザインを200枚ほど考案しましたが、
それはマヤ文化の特徴のあるデザインが殆どないから、いくらでも作れました。
州政府がこれを製品化する気があれば、面白かったんですが・・・
ところがこちらでは・・
ナワトル族の刺繍だけのデザインが100種類以上あり、一つ一つに名前もついています。
その名前がロマンチックな詩の題名みたいな名前で、実に民族文化を感じさせます。
私がデザイン指導したり創作する余地は、ここではありません(涙)
そんな状況で、私がでしゃばりだしたのが・・・
各市町村ごとに
民芸品のブランド・マークを作ろうという提案でした。
これは日本でいう
『県産品』として地場産業のブランド化を目指し、
他の地域との差別化をはかることを意図しています。
と言いますのは、同一部族の市町村がいくつもあり、同じ民芸品を生産しています。
しかしよく見ると隣の市町村の製品でも、微妙に色合いや形に差異が見られるのです。
そこで"Made in OKINAWA"みたいな感覚で
『県産品』マークを付けようということです。
実際に、商標タグがついているか、いないかでかなり消費者受けが変わります。
またブランド・マークがあるだけで、パンフレットや看板や情宣にも利用できます。
こういうのがあるとないとでは、商品戦略にも大きな差が出てきますしね。
要望のある市町村の地域的特徴を取り入れたデザインを考案しました。
上はモナルカ蝶・蘭・テマスカル(先住民のサウナ)を組み合わせた、
某村のマークで、これらがここの地域的特長であり、名物だそうです。
上はマサウア族地域の某市のもので、マサウアとは鹿のいる場所
という意味で、先住民は鹿が先祖だという事だそうです。
マークのフォルムが決まり、今度は彩色を施したものです。
これはシナカンテペック(コウモリの丘)市のためのマークです。
全部で15種類くらいの組み合わせですが、色の指定があります。
はい、トラネコの醜態を晒します(笑)
三方の壁にはデザインのアイデアスケッチなどが貼られています。
私のオフィスですが、机上は道具その他でごちゃごちゃです(恥)
出来上がったアイデアスケッチを再度、各市町村に持参し、
役所の関係者や職人さんに集まってもらい検討会を行ないます。
・・・とまあ、こんなことに日々携わっているトラネコです。
たまにこういうエントリしとかないとね、美術屋であることを疑われ、
政冶ブログばかり書いているボヤキ親父とは、思われたくないんです(笑)
へえ~トラネコって美術もやるんだ・・・
「いや、美術が本業なんだよっ(怒)」
では今日はこの辺で~!