普通の家族のおかしな光景・映画「家族ゲーム」
2008年09月20日
1983年ATG制作「家族ゲーム」の紹介する。
主演は今は亡き松田優作主演、森田芳光監督・脚本のホーム・ドラマである。
あるどこにでもある4人家族の、どこにでもある日常の風景を描いているのだが、
松田優作という非凡なキャラクターがこの平凡な日常に、非日常的な香辛料をそえている。
物語は・・・
舞台はウォーターフロントのマンションに住む4人家族。
父はそこそこの会社のサラリーマンで子供の教育は母親任せだ。
母は典型的な専業主婦だが、両親ともに子供には一流大学へ進学することを希望し、
またそうすれば将来は安泰であり、世間体も満たされるというよくある家庭。
二人の兄弟の兄は優秀で、一流高校在学中でまったく親の手がかからない。
そこへ家庭教師として雇われたのが吉本(松田)である。
彼は三流大学の7年生でいつも植物図鑑を小脇に抱えている。
しかも無表情で飄々としたマイペース・キャラである。この吉本が教えるのが、次男の茂之である。
茂之は無気力でクラスでも成績はビリに近く、イジメラレっこである。
にもかかわらず、ひょうきんでふざけたところもある。
父親は吉本に茂之の席次が一番上がれば1万円のボーナスを払うと約束する。
吉本はふざけて真面目にやらない茂之を力でねじ伏せ勉強させる。
茂之は吉本が怖くて勉強するようになり、成績もぐんぐん上がっていく。
そして兄が通うトップの進学校へいける偏差値に達するが・・・
この家族の最初のシーンが面白い。というか奇妙だ。
食事のシーンだが、4人全員が横長の机に一列に並んで食事するのだ。
決して向き合うことがない。一応会話はあるが目を合わせることはなく、
ただ黙々と食事をするのだ。話題も乏しく茂之の受験の話しかない。
別に仲が悪いわけではない。でも何かしっくりこない家族なのだ。
これはまさに現代の家庭の風景に見立てているのではないか。
親子、夫婦のコミニュケーション・ギャップ、形だけの家族や夫婦。
タイトルのように各人が家族の構成員を演じているのだ。
この横長のテーブルに一列に座って食事をするというシーンで、
この映画の言いたいことが理解できるようだ。
私はこの映画は現代の「仮面家族」を描いていると思う。
この映画の配役が抜群によかった。
主人公の吉本役の松田優作はハードボイルド系のアクション俳優だが、
地味な演技だが、無表情の淡々としたクールさが味を出している。
家庭教師を通じて、内に秘めた狂気を押し殺しながら、
この家族の欺瞞性を最後にはぶち壊す。

父親役の伊丹十三は社会派監督としても秀作を続々生み出し、
残念ながら自殺してしまった。
この映画ではカネで何事も解決し、肩書きや世間体さえ整っていればそれでよいという、現代の父親像を見事に演じきっている。
母親役の由紀さおりもよくいる隣近所と同等ならば安心という、
団地の奥さんをごく自然に演じており、
子役の宮川一朗太も思春期の受験生役をうまく演じている。
これらの名優たちの「自然」な家族の奇妙な日常を描いている。
25年も前の作品だが、ちっとも古さを感じさせない。
現在でもこんな家族はありそうだ。
主演は今は亡き松田優作主演、森田芳光監督・脚本のホーム・ドラマである。
あるどこにでもある4人家族の、どこにでもある日常の風景を描いているのだが、
松田優作という非凡なキャラクターがこの平凡な日常に、非日常的な香辛料をそえている。

舞台はウォーターフロントのマンションに住む4人家族。
父はそこそこの会社のサラリーマンで子供の教育は母親任せだ。
母は典型的な専業主婦だが、両親ともに子供には一流大学へ進学することを希望し、
またそうすれば将来は安泰であり、世間体も満たされるというよくある家庭。
二人の兄弟の兄は優秀で、一流高校在学中でまったく親の手がかからない。
そこへ家庭教師として雇われたのが吉本(松田)である。
彼は三流大学の7年生でいつも植物図鑑を小脇に抱えている。
しかも無表情で飄々としたマイペース・キャラである。この吉本が教えるのが、次男の茂之である。
茂之は無気力でクラスでも成績はビリに近く、イジメラレっこである。
にもかかわらず、ひょうきんでふざけたところもある。
父親は吉本に茂之の席次が一番上がれば1万円のボーナスを払うと約束する。
吉本はふざけて真面目にやらない茂之を力でねじ伏せ勉強させる。
茂之は吉本が怖くて勉強するようになり、成績もぐんぐん上がっていく。
そして兄が通うトップの進学校へいける偏差値に達するが・・・
この家族の最初のシーンが面白い。というか奇妙だ。
食事のシーンだが、4人全員が横長の机に一列に並んで食事するのだ。
決して向き合うことがない。一応会話はあるが目を合わせることはなく、
ただ黙々と食事をするのだ。話題も乏しく茂之の受験の話しかない。
別に仲が悪いわけではない。でも何かしっくりこない家族なのだ。
これはまさに現代の家庭の風景に見立てているのではないか。
親子、夫婦のコミニュケーション・ギャップ、形だけの家族や夫婦。
タイトルのように各人が家族の構成員を演じているのだ。
この横長のテーブルに一列に座って食事をするというシーンで、
この映画の言いたいことが理解できるようだ。
私はこの映画は現代の「仮面家族」を描いていると思う。
この映画の配役が抜群によかった。
主人公の吉本役の松田優作はハードボイルド系のアクション俳優だが、
地味な演技だが、無表情の淡々としたクールさが味を出している。
家庭教師を通じて、内に秘めた狂気を押し殺しながら、
この家族の欺瞞性を最後にはぶち壊す。

父親役の伊丹十三は社会派監督としても秀作を続々生み出し、
残念ながら自殺してしまった。
この映画ではカネで何事も解決し、肩書きや世間体さえ整っていればそれでよいという、現代の父親像を見事に演じきっている。
母親役の由紀さおりもよくいる隣近所と同等ならば安心という、
団地の奥さんをごく自然に演じており、
子役の宮川一朗太も思春期の受験生役をうまく演じている。
これらの名優たちの「自然」な家族の奇妙な日常を描いている。
25年も前の作品だが、ちっとも古さを感じさせない。
現在でもこんな家族はありそうだ。
Posted by トラネコ at 06:00│Comments(0)
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