世界国家は幻想、ブレグジットに見るナショナリズム回帰現象

トラネコ

2019年11月09日 00:00

イギリス、12月12日に総選挙へ EU離脱をめぐる選択へ
英議会下院は29日、12月に前倒し総選挙を実施する法案を賛成多数で可決した。英国で12月に選挙が行われるのは1923年以来約100年ぶり。ジョンソン首相にとっては、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る行き詰まり打開に向け前進となる。

下院は前日、ジョンソン首相が提案した12月12日の総選挙実施に関する動議を否決。この日は労働党が一転して前倒し総選挙を支持。第2読会で圧倒的な支持があると判断されたことから、投票を行うことなく承認。その後の採決で賛成438票、反対20票で可決され、上院に送られた。

総選挙では、自身の離脱協定案の実現を目指すジョンソン首相と新たな国民投票に向けてEUとの再交渉を訴える最大野党・労働党のコービン党首の間で有権者の選択が問われる。

ジョンソン氏は保守党議員らとの会合後「この国を一つにまとめ、ブレグジットを実現する時が来た」と強調した。
<後略>
Newsweek 2019年10月30日(水)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/1212eu.php





<参考>
イギリスの欧州連合離脱
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E9%80%A3%E5%90%88%E9%9B%A2%E8%84%B1


私はEUという地域共同体の発展がどういう方向性を持っているのか、
世界統合という観点から共産主義と比較してEC時代から興味をもっていた。
しかし21世紀になってからもEUがその方向に動いているとは到底思えない。

果たして人類は地球という家の家族になっていけるのか?
古来より人類統合の思想として宗教があったが、特に一神教である
キリスト教はその役割を侵略と異教徒虐殺に奔走してきた。

そして宗教は阿片だと喝破したマルクスは宗教を否定し、
あらたな人類統合の思想「共産主義」を創作したのだが、
キリスト教と同じく侵略と大量虐殺と文化破壊で終焉した。

そこにきて、もう一方の民主主義、資本主義の西欧諸国は、
戦後の復興のために始まったベネルクス三国から発展した、
欧州経済共同体(EEC)から欧州連合(EU)に拡大していった。

私はこれが世界共和国の前段階になる地域共同体だと思った。
しかし現実にはEUは経済の国家間格差その他で行き詰まっている。
そこでEUの実態と問題点を簡単に概観してみたい。





EUとは、欧州の28か国加盟による無関税の単一市場である。
ここではシェンゲン協定によって人・物・金が自由に移動できる。
またEU域外からの観光客や移民も自由に域内の移動が可能だ。

しかし加盟国が単独でEU以外の国々と貿易協定は結べない決まりである。
その場合はEU議会で話し合い、そこでの取り決めや許可が必要になる。
つまり加盟国は経済的自主権を持てない仕組みになっているのだ。

さらに工業や農業生産品の規定も細かく厳しいものになっていて、
一国が勝手に自由に規格を決めることができない仕組みになっている。
これでは各国の自主性や個性が否定されてしまうのは当然である。

しかしそれが共同体という仕組みでもあるのだ。
そして共同体の運営予算が各国の経済状況に応じて分担される。
ドイツがトップで、英仏蘭と続くがこの負担がまたデカいらしい。





イギリスがEU離脱するメリットを見ると・・・

イギリスはEUの縛りなしに自由にどこの国とも貿易協定を結べて、
自国で生産できるすべてのものに自由に規格も作り出せるのだ。
さらに巨額のEU負担金からも解放されるのである。


旧植民地国家のオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、インド・・・
など、資源も市場も豊富な国々との貿易で利益を増す目論見がある。
これって世界恐慌の一因となった経済ブロック圏の発想である。

さらに旧植民地で世界最大の経済大国アメリカ、そしてかつての同盟国で、
同じく世界第三位の経済大国日本とも貿易協定を自由に結べるのだ。
こう考えるとイギリスに限っていえばEU離脱の方がメリットがあるように見える。

実際に日米英の新三国同盟に加え、旧植民地国家との間に
軍事&経済同盟の協定を結べばEUに対抗できる共栄圏も可能
である。
さらにEUを捨てアメリカの裏庭中南米との協力拡大も可能性がある。





しかし経済音痴の私が注目したのは・・・

イギリスがEU離脱を決めた大きな理由は移民問題である。
シェンゲン協定により他国からの移民も自由にイギリスに入っており、
しかもEU加盟国は難民や移民を受け入れる義務があるのである。

その結果いまや首都ロンドンの人口の約6割が中東やアフリカからの移民である。
2016年から急激に移民・難民が増加し、年間約20万人のペースで増えている
元々住んでいたロンドンっ子は減少して、かつての大英帝国の面影さえない状態だ。

移民が増加して起きる問題は、イギリス先住民の労働市場が奪われる
教育・医療・生保など社会保障費が増加し全国民に補償できなくなる。
住民との間で文化摩擦が起きてテロや犯罪が多発するようになる。

これらがイギリスがEUから離脱する大きな理由になったのである。
つまりイギリスの国内事情への対処はイギリス国民が決める権利があるが、
しかし文化や習慣、価値観の異なる移民が大量にくればそれも難しい。


  安倍首相や売国バカ野党どもはこういうことを一切考えていない。
  彼らは日本を崩壊させることしか念頭にないように見えるのだ。
  しかし今の国民の政治民度ではこういう政治しかできないのだ。




           ロンドンの人口の6割は中東や、
           アフリカ系移民で占められている。







つまりEUの機能不全とブレグジットの持つ意味合いとは、
自国民中心主義、自国文化中心主義ということである。
これはグローバリズムに対して第三の民族自決ともいえるナショナリズム現象である。

私は民族自決の歴史をこう見ている・・・

最初は欧州列強の植民地時代における第三世界の反帝国主義・独立運動
二番目は東西冷戦時代におけるソ連の衛星国と自由陣営の反共産主義運動
三番目はグローバリズムに反発したEU諸国の民族回帰運動(ナショナリズム)である。

現在のグローバリズム時代以前は個別の強国の支配が中心だったが、
今はアメリカ、ロシアは昔ほど影響力をもっていない。しかしそれに代わって、
シナが経済&軍事に力を持って台頭してきたが、これも今は怪しい。

グローバリズムの見えない本質とは個別の国ではないのだ。
国際金融資本や多国籍企業体などによる国境の破壊と、
人・モノ・金の自由移動で個々の国の文化や社会の崩壊
が進んでいるのだ。

そこからの脱却したい「先住民」の危機感が現在の「第三の民族自決」である。
昔から移民も外来種動植物も先住民(種)を駆逐してきた歴史の教訓を学ぶべきだ。
無秩序な大量移民の受け入れは国を滅ぼすのである。

世界は統合化ではなく地域化へ、グローバリズムから
ナショナリズムへ、画一化から多様化へ、向かっている!




          人種の違いを越えて人は仲良くできるが、
          文化・宗教・習慣を越えることはできない。




 EUの失敗原因は無秩序・無制限に、
 イスラム系移民を受け入れ過ぎた事だ。


余りにも異質な文化圏からの移民には国民が拒絶反応示すのは当然だ。
現実に欧州各国の国民は保守傾向に走り、民族主義政党が大躍進している。
ネオナチや極右団体が登場するのも当たり前のことだと日本人も気づくべきだ。

しかし安倍政権と売国野党どもは、EUの移民政策を踏襲しようとしている。
何の学習も、何の見識もなく日本に大量の移民を受け入れる計画である。
これは日本の国家破壊を目論んでいるとしか思えない愚策である。

しかしその意図に何の関心を示さないのも日本の一般国民である。
民意で移民を大量に受け入れるなら、それも民主主義の選択である。
しかし国民が気が付いたときは遅すぎるかもしれない・・・

<関連記事>
独東部ドレスデン市が「ナチス非常事態」宣言、極右の台頭懸念で
Jijiドットコム 11/3(日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191103-00000010-jij_afp-int

「極右躍進」の欧州議会選挙が示すEU各国の内憂
JPPRESS 2019年6月1日
https://news.livedoor.com/article/detail/16549739/

コラム:欧州各国で極右が躍進、1930年代の教訓は生きているか
ロイター 2019年9月14日
https://jp.reuters.com/article/columm-apps-idJPKCN1VW0XB



      「反移民」を掲げて大躍進するAfD(ドイツのための選択)
      マスゴミは極右政党というが、純然たる保守政党である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E9%81%B8%E6%8A%9E%E8%82%A2



      数年前までわずか数%の支持率しかなかった民族派政党は、
      EU各国内でいまや破竹の勢いで支持率を上昇させている。




         21世紀になるまでこんなデモは日本になかった。



上述したことをさらに具体的にみていきたい。
既に過去の遺物となった共産主義がグローバリズムという衣替えをして、
現在の世界を支配しようとする「白い共産主義」になっているからである。

西欧における世界を統一する思想原理は次のような歴史的過程をたどった。
キリスト教文明→啓蒙思想→マルクス主義→EU統合→グローバリズム
しかし今グローバリズムの反動からナショナリズムが台頭してきている。

これまでの世界の思想的潮流はキリスト教的価値観に始まり、
植民地主義も含め、常に世界を一つに統一する原理の模索と実践であった。
そしてマルクス主義はキリスト教文明に代わる統一原理であった。

20世紀後半の東西冷戦時代の世界情勢を振り返れば、
アメリカを中心とする西側資本主義、自由主義国家群
旧ソ連を中心とする東側共産主義、社会主義国家群との対立があった。

この時代、社会・共産主義は最終的には国家の枠組みをなくし、
世界が労働者の天国として一つにまとまるという理想
を持っていた。
現在のグローバリズムの共産主義バージョンである。





しかし現実には、ソ連や社会・共産主義国家ほど国境線に拘り、
領土拡張のための覇権、侵略に積極的な外交
を展開してきた。
むしろ旧ソ連は戦争輸出大国でもあったのだ。

これを日本社会党・共産党、朝日新聞や毎日新聞などは、
平和勢力と嘘の喧伝をしソ連の侵略を隠蔽する姿勢を貫いた。
こいつらの売国的欺瞞性や報道しない自由は昔も今も変わらない。

さらにソ連は労働者が支配する平等な国家のはずなのに、
「赤い貴族」と呼ばれる共産党幹部に「富」が集中しており、
共産党幹部と一般国民の所得格差は極端に開いていた。

この辺は現在のシナや北朝鮮とほとんど同じ状況である。

  結果的に社会・共産主義体制の東側世界が、
  完全に破綻した巨悪の政治体制である事が、
  旧ソ連の崩壊によって証明されたのであった。






一方、西側陣営の欧州では戦後のベネルクス三国からEEC(欧州経済共同体)
EC(欧州共同体)EU(欧州連合)と発展して、むしろ西側の方が国境がなくなり、
地域共同体へ拡張していったことは実に皮肉な現象であった。

89年にベルリンの壁崩壊をきっかけに91年に旧ソ連の崩壊
その後は怒涛の如く東側諸国の社会主義体制は全壊した。
そして70年以上に渡ったマルクス主義の壮大な実験は、
人権抑圧と数億人の犠牲者とともに大失敗で終了した

私も90年代の欧州統合の動きを見て、世界は一つになりつつあると思っていた。
社会・共産主義は大失敗に終わったが、欧州市場の拡大統合が進むにつれ、
自由・資本主義の世界こそ世界国家に発展するのではないかと思っていた。

これが社会・共産主義に代わるグローバリズムの始まりだったのだが、
EUの混乱やブレグジットを見て、やはり世界は一つの共同体にはならず、
それぞれの地域や国の文化・習慣・経済システムなどはなくせないものと痛感した。
グローバリズムになりうる要素とは通信、情報、交通、流通、金融などである。

東西冷戦を終わらせたアメリカのレーガン大統領は、
「人類が一つになるのは宇宙人が攻めてきたときだけだ」という主旨のことを述べた。
これを批判する向きもあるが私はそうは思わない。


全人類が一つの価値観の国家の下に
まとまることは絶対にありえないのだ!




           東西冷戦の終焉を告げたベルリンの壁


全人類が同じ思想や文化を持つ必要はないのである。

先にも述べたが、EUは無秩序、無制限にイスラム教徒を受け入れた。

お互いに全く違う価値観の歴史をもつ文化が融合などするはずがない。
キリスト教文化とイスラム教文化は妥協せず、するはずもないのだが、
これまで通り互いに棲み分け、互いに干渉せず、共通の利害だけ
協力しあえればいいのだ。


これは日本と中韓朝との関係にもいえることである。

共存することと混じりあうことは別である。
アメリカみたいな移民で成り立つ人工国家は別だが、
日本や欧州など土着民国家では不可能である。

人間個々人が皆姿かたち能力性格が違って共存しているように、
それが民族や国民に拡大しても皆平和に暮らすことは可能であると思う。
要は互いの違いを認め合い、かつ妥協しあう精神が必要だという事だろう。



         東京の街中がこんな風になってもいいのか?


一方で、一神教という統一原理をもった宗教概念も終わりに近づいている。

欧米で進みつつある脱・一神教、キリスト教文明の終焉の傾向が進んでいる。
欧米の若者層は聖書も読まないし、教会にもいかない人が増えているという。
だがキリスト教は信じないが「神」の存在は信じる、まるで日本人の信仰心である。

この傾向は一神教の限界(ドグマ思想)を意味しているのではないだろうか?
宗教は精神を解放し自由にするという目的と矛盾するからである。
ドグマ(教義)があるという事は、教義にとらわれるという事である。

<参考エントリ>
西欧文明崩壊 キリスト教文明の終焉
https://ryotaroneko.ti-da.net/e10541782.html

すなわち欧州の若者の傾向とは・・・

 絶対的ドグマ(教義)をもつ宗教と
 啓蒙系教条思想の終焉を意味する




           4月のノートルダム大聖堂の火災は、
           二千年続いてきたキリスト教文明の
           終焉の象徴のようにみえるのだが・・・
           5月新天皇即位、令和元年が始まった。



私は神道思想、これが思想といえるかどうか疑問だが、神道こそ21世紀における、
世界平和と自然環境保全に必要な思想ではないかと考えている。
その「先進的?」な思想を縄文時代以来、日本人は受け継いできたのである。

神道思想とは自然信仰・御霊信仰・先祖信仰の多神教だが、
アニミズムなど多神教は一神教より劣った宗教形態だという見方がある。
しかしその「劣った宗教観」の国が世界トップクラスの経済技術大国である。

この現実をクリスチャンはどう説明するのか?

<参考エントリ>
イギリスで無宗教者が増加、いよいよ神道の時代だ!
https://ryotaroneko.ti-da.net/e10133877.html

神道は21世紀の地球を救う人類の原始宗教回帰の手本になるのではないか。
日本こそが世界を平和に導き、自然環境を保全する手本になれると思う・・・が・・・


現状では無理だ。
なぜなら主権独立国家としての主体性が欠如しているからである。
他国へ主権を行使できず、従属した国家に主体性があるわけない。

国民の政治民度がもっと高くなり、それに応じた政治が出来たとき、
日本が世界平和のリーダーになる日も来るのかもしれない。
でも今の属国根性の国民性ではな・・・(溜息)



またしてもまとまりのない文章になってしましました・・・(苦笑)









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