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アメリカの根強い人種差別

2012年01月20日

ジョージ・ルーカス監督激怒…「黒人映画」に冷たいハリウッド
「スターウォーズ」や「インディ・ジョーンズ」などを手掛けた米映画監督、ジョージ・ルーカス氏(67)が製作総指揮した最新作「レッド・テイルズ」が20日から全米で公開される。第二次世界大戦で戦った米黒人パイロットたちの勇姿を描いた映画だが、封切りを前にルーカス氏がテレビ番組に出演し、「ハリウッドは黒人映画に冷たい。支援しようとはしない」などと、怒りを込めて米映画界の“人種差別”を批判する発言をした。黒人大統領が誕生するまでになった米国だが、社会の底流には今なお根強い差別が残るのか。
<後略>
産経新聞 2012年1月16日
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/topics/entertainments-14837-t1.htm




第二次大戦当時の米軍はすべて白人のみで部隊編成されていた。
この時代は人種偏見が今以上に強く、人種の混成部隊ができたのは、
1960年以降のベトナム戦争以降からである。
ただ海軍艦船には、例外的に食堂には黒人兵が配置されていた。

黒人兵は主に補給基地や輸送などの後方勤務が多かった。
これは当時黒人の体格が貧弱で白人にも劣るという説もあるが、
英雄的行為を白人に独占させ、黒人兵にさせたくないという、
人種差別の偏見によるものであっただろう。

その証拠にアメリカでは敵性国民として日系人だけ強制収容所に隔離し、
同じ移民でも敵国のドイツ、イタリア系移民には隔離政策を行わなかった。
これは明らかに人種差別が根底にあったからである。

しかし米陸軍には、黒人のみの戦闘部隊も存在はしていた。
陸軍第92と第93歩兵師団と二つの戦車大隊と空挺大隊があり、
海兵隊にも二つほど大隊規模な黒人部隊があった。

そして今回の記事の陸軍航空隊である。

イタリア戦線において、米爆撃機部隊の護衛を担当し大活躍した、
「ブラックイーグルス」と呼ばれた第332戦闘飛行群である。
この黒人戦闘機部隊は過去にも『ブラインド・ヒル』という題名で映画化されている。

またアメリカ軍部隊で、日本人が忘れてはならない移民部隊があった。
現在に至るも最高数の受賞勲章数を誇る、戦闘でも死亡率314%の、
米軍最強の日系二世部隊422部隊である。
ほかにもハワイの日系人で編成された陸軍第100大隊もあった。

2010年10月5日オバマ大統領は第2次大戦に欧州戦線で大活躍した、
日系2世部隊に最高位の米議会勲章を授与することに署名した。
http://blog.livedoor.jp/manfor/archives/51571096.html

また日系人部隊は、『二世部隊』1951年、『ザ・ブレイブ・ウォー 第442部隊』2010年、
と過去二度映画化されており、現在も渡辺謙監督の映画化の話が進行している。

余談だが、この日本人の442部隊の多大な犠牲と大活躍にもかかわらず、
米本国ではこのことを報道されず、相変わらずJAP!と蔑まれる状況は続いたという。


さて前置きが長くなってしまった。

アメリカという移民国家は未だに人種差別が厳然と存在している。
映画などを見る限りは、さほど白人と黒人の間に差別があるようには見えない。
しかし南部の各州には今だに、結構偏見があるという話は聞いたことがある。

ただ個人的経験でいえば、黒人系社会の偏見の一端は、
単に肌の色の問題だけではないのではないかと感じた。
私は個人的には肌の色の白黒などまったく気にしていないからだ。

黒人及び白人との混血が8割以上のドミニカ共和国で暮らしていたが、
同じラテンでも先住民系の多いラテン国家とは、文化的にも国民性も異なる。
このことは何度かエントリしたのでご記憶の方もおいでかと思う。

とにかく日本人の想像を絶する極端な嗜好・大音量・衛生感覚の欠如には、
生活していく上での不便さ以上に生理的適応不能なものがあった。
ただこれに関しては私個人の感想であり、無論、普遍化する気はない。

逆にコスタ・リカでは私自身が人種差別された不快な思い出がある。
この国は白人系の強いメスチソ(混血)カラードを見下す傾向があった。
そしてラテンアメリカでは珍しくアメリカ贔屓の国民性であった。

高校生がわざわざそばに来て、「チノっ(シナ人)」と足元に唾を吐きつけたりされた。
リモンという黒人系の多い地域を「尻尾のないサル」が住む地域と笑って言ってた。
黒人はもちろんアジア系も、自分たちより劣等な人種と認識しているみたいだった。
ただしもう20年くらい前の話だから、現在はどうなっているかは知らない。


西洋白人社会の人種偏見は宗教に起因するのではないかと思う。
聖書の創世記には白人の男女が作られており、これが人間である。
黒人や黄色人種などカラードは、猿か類人猿ていどなのだろう。

実際日本に来た米国白人留学生の話だが、彼は進化論に関して、
有色人種は進化の過程で誕生したが、白人は神が創ったと信じていた。
まさにカラード(有色人種)が動物であるという偏見そのものであろう。

会田雄次著『アーロン収容所』中公新書を読めば、
イギリス人が日本人を動物並に認識していたことが理解できる。
そう、白人にとって有色人種は人間ではなく動物なのである。


実際に20世紀前半まではF・ルーズベルト米大統領でさえ、
日本人は劣等人種だから、原爆実験のモルモットにしてよいと言っていたようだ。

事実、広島・長崎への原爆後、当時カナダ首相マッケンジー・キングは、
原爆実験がドイツでなく日本で行われてよかった♪と日記に記していることから、
当時の白人社会が有色人種への異常な偏見を持っていたことがわかる。

ラス・カサス著『インディアスの破壊に関する簡潔な報告書』岩波文庫
を読めばわかるが、私はこの高々150ページ程度の文庫本を途中で読むのをやめた。
それは、あまりに残酷な描写が続き、吐き気を催したからである。

スペイン・ポルトガル人は中南米でかくも残忍なまでな先住民虐殺を、
神の名の下にローマ教皇のお墨付きで行ってきた
ことが、よく理解できる内容だ。
もっとも後にオランダ、イギリス、フランス、アメリカ・・・も似たり寄ったりである。

日本人も戦後の目覚しい復興と最先端技術の製品の拡大、
さらに日本人の誠実さや謙虚さ、清潔好きなどが、徐々に世界に知れ渡り、
かつてのような偏見はなくなってきたようだ。

実際私もアメリカでは旅行経験しかないが、差別を感じたことはない。
少なくともコスタリカで経験したしょうな不愉快なものはなかった。

しかし・・・

もしかしたらそれは私が感じないだけなのかも知れない。
おそらくアメリカの白人の心にはいまだに有色人種への差別意識が、
厳然と残っているのかも知れない。

彼らキリスト教文化圏の白人の人種偏見は、
もしかしたら永遠に存在し続けるのかも知れない。
さすが二千年以上人種偏見や、宗教戦争に明け暮れてきただけはである・・・




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Posted by トラネコ at 00:00│Comments(12)文化
この記事へのコメント
2010年11月に日本で放映された「99年の愛 Japanese Americans」
というドラマの中では、フランス・ボージュ山地の森でドイツ軍に包囲されて
孤立した「失われたて連隊(Lost Battalion)」を救うために派遣された
442部隊配属の長男(日系二世)は、前線で亡くなります。 
この話は、442部隊の活躍が、農場を日系人に譲る事を拒んでいた
米国人の心を結果的に変化させ、農場を得た日系人家族が生計を
立て直すという筋書きでした。

1991年イスラエル ベル・フィルム作成 『日系アメリカ人部隊442連隊』
(Youtube)を観ると、「442部隊は捨石にされた」という印象がありますが、
彼らには全力で戦う以外の道はなかったのでしょう。 そのおかげで、
開放されたフランスの村では、今も語り継がれ感謝されています。


スペイン・ポルトガル人による15~17世紀中南米の先住民虐殺ですが、
私はこれを「人類史上最悪の大虐殺・民族浄化」と考えています。
カリブ海諸島の先住民族の多くは絶滅、インカ帝国、マヤ帝国、
アステカ帝国は消滅させられました。 生き残ったインディオたちも、
抑圧的な植民地支配の下で、男たちは奴隷化されて厳しい労働を
強いられ、若い女たちはスペイン・ポルトガル人男性たちの
性奴隷にされました。 現在に至っても白人に社会を牛耳られ、
インディオ原住民族の名誉回復は成されないままです。

所詮、欧米社会が唱えている「人権、博愛、平等」の理想は、
彼ら内輪だけのものであり、異民族、異宗教の非白人に対しては、
未だ完全には適用されていないのでしょう。
Posted by Black Joker at 2012年01月20日 19:43
そういえば、捕鯨反対はあきらかに人種差別ですね。

過去に散々鯨を殺して油だけでポイ捨てしてたのですがね。
牛肉買えと言う国がよく言うと思いますね。
Posted by 人形焼 at 2012年01月20日 20:38
Black Joker様
日本人って愚直なまでにまっすぐで誠実でお人よしな人種ですよねえ。日本人というのは一つの人種ではないかと思います。だから二世部隊の戦死者数が異常に多いのもわかる気がします。まさにサムライ部隊だったと思います。

戦後も日本人は敗戦のゼロ状態から数十年で世界トップの経済・技術大国に復活しましたが、未だ国際的発言力や指導力がないのは、国際社会でのディベートや自己主張ができない、外務官僚や政治家の資質にあると思います。控えめで謙虚といえば聞こえもいいですが、これは国際社会では無能に見えます。別に近所のキチガイ民族ほど傲慢不遜になる必要もありませんが、あのキチガイの1割程度の傲慢さは要るでしょうね。

こちらメキシコでも先住民ほ部族がいまでも数十部族がいて、やはり不当な差別的待遇にいます。街中の乞食はほぼ先住民でしょう。しかしメキシコ人のアイデンティティは、意外なことに先住民文化に誇りをもっていますし、先住民を自分のルーツと考えている人が意外と多いのです。この辺の事情をもっと探ってみようと思います。



人形焼様
捕鯨もそうですが、アメリカなどでもバッファローを絶滅寸前にまで追い込んだ過去があります。またオーストラリアもフクロオオカミやエミューなどをすでに絶滅させていますし、カンガルー保護をして増えすぎれば、間引き虐殺をしています。まあ、勝手なものですよ。

この辺はシナ・チョーセン人などと同じ、大陸の狩猟遊牧民族の気質でしょうか。こういうことも日本がガンガン言ってやればいいんですが、言わないんですねえ、事なかれ主義の害務省のへたれ官僚は・・・害務省官僚はかなり海外留学経験の多い連中もいそうですが、まったく経験が生かされていないのはなんででしょうかね・・・?
Posted by トラネコ at 2012年01月20日 23:01
バッファローはインデアンにとって神様でしたね。命をつなぐ食料でした。

日本のお米に神様が宿る、と言うのと同じです。
捕鯨もそうでした。

白人は列車から娯楽でバッファローを撃ち、皮だけ剥いで後は捨ててのですよ。

私は自分の心の中を見ても差別は完全になくならないと思いますが、明らかな差別と差別とわからない差別いろいろありますなあ。

思い出して腹が立ったので再コメントさせてもらいました。

>害務省官僚はかなり海外留学経験の多い連中もいそうですが、まったく経験が生かされていないのはなんででしょうかね・・・?

害務省官僚は知りませんが、日本を批判する人は日本を知らない、と言う事はありませんか?
Posted by 人形焼 at 2012年01月21日 10:17
人形焼様
>白人は列車から娯楽でバッファローを撃ち、皮だけ剥いで後は捨ててのですよ。
本当ですか!? 知りませんでした。
これで思い出しましたが、イギリス人がオーストラリアやニュージーランドに侵略したとき、牧師だか神父が、先住民アボリジニーは邪悪な異教徒だから、キリスト教に改宗しないなら殺していい、みたいなお説教をしました。

そこで、イギリスからつれてこられた囚人の開拓者は、馬に跨りキツネ狩りをするかのごとく、奇声を上げながらライフルでアボリジニーを楽しみながら殺したそうです。所詮白人のやってきたことはいずこも同じです。紳士の国は野蛮人だったってことですね。

『日本を批判する人は日本を知らない』ということは大いにありえます。
学校教育が日本歴史を正しく教えていないし、日教組が日本悪玉史観で教育してますからね。私自身も日教組の呪縛が解けるまで10年以上くかかりました。

それでも歴史好きだったから、卒業後も歴史の勉強をしていたからよかったですが、受験勉強で終わりの人は日本のことも、日本の良さも知らないでしょうし、逆に自虐史観で特亜から攻められると、すぐ謝って卑屈な媚を売るのでしょう。
Posted by トラネコ at 2012年01月21日 10:36
>>白人は列車から娯楽でバッファローを撃ち

本当です。すべてそうだとは言いませんが。

本「神話の力」キャンベル氏がそのような事を書いていました。
列車からはほかで読んだかもしれません。
Posted by 人形焼 at 2012年01月21日 11:59
言葉が足りませんでした。

全てのバッファロー狩りがそうだったかはわかりませんが。
キャンベル氏が自分の幼い頃バッファローの毛皮がたくさんあったと書いていました。娯楽で狩った、と。

白人はバッファローを狩ったとき、インデアンの神を  (禁止語)たんですね。
Posted by 人形焼 at 2012年01月21日 12:56
人形焼様
キリスト教など一神教世界では、キリスト教徒以外の人間や動物は、単なる食料というのか、人間の範疇にない存在なんだと思います。こういう感覚が2000年かけて宗教的に形成されてきたんでしょう。朝鮮人の奴隷属国事大主義DNAではありませんが、こういう遺伝子はちょっとやそっとではなくならないんじゃないですかね?

一神教は異教徒の神への恐れがありません。だからゲルマンの御神木を切り倒した聖ボニファチウスみたいに、簡単に宗教施設や信仰の対象を破壊できるのです。こういう遺伝子の連中がイルカ漁や捕鯨を批難するなど、笑止千万もいいところです。
Posted by トラネコ at 2012年01月21日 13:12
> 大陸の狩猟遊牧民族の気質

トラネコ様。 私の理解では、正確には大陸は「他民族からの略奪と奴隷化の気質」であると表現すべき、と考えます。 日本文明の黎明期である縄文時代は、むしろ大陸よりも狩猟採集の時代が長かったのが事実です。 大陸の全ての主要な古代文明は他民族から略奪し、人は奴隷化して労働生産力として用いました。 ところが日本にはこれが無かった(島国なので出来なかった)。 その代わりに、森林を大切に守ることで、その恵みで木の実・野菜・穀物や動物・魚を得ていたのです。

米の耕作が始まった以降も、日本は一度も他民族の支配を受けた歴史がなく、田畑や森を守りながら助け合って生きてきました。 ところが、大陸の文明は、(略奪気質から)森林を消耗することで何度も滅んだのですね。 朝鮮半島も、数千年前に一度森が消滅して人が住めなくなったと考えられています。

江戸時代には、日本は完全なリサイクル社会でしたし、すべての資源を大切に使ってきました。 捕鯨に関しても、全ての部分の皮・肉・骨を余すことなく有難く利用してきたのであって、かつての米国の油を取れば他は捨てるという様な罰当たりな事は、日本の感覚では「有り得ない」のです。
Posted by Black Joker at 2012年01月22日 00:55
Black Joker様
>大陸は「他民族からの略奪と奴隷化の気質」である
同意します。
日本は海に囲まれ山の多い閉鎖的空間ですし、また自然の恵は豊富にある環境から、略奪するより平和共存を選ぶほうが、賢い選択だったんじゃないですかね。

森林を尊ぶ日本文明と森林を破壊する大陸文明の違いは、安田喜憲教授の説にもありますが、私もそう思います。朝鮮半島は大昔にまったく土器も遺跡も何もない空白期間がかなりあったそうですね。それが森林伐採した不毛の期間だったんでしょうねえ・・・

>江戸時代には、日本は完全なリサイクル社会でしたし、
 すべての資源を大切に使ってきました。
まさにエコ先進国日本は西洋の数百年先を行ってたわけです。またその自己完結性ゆえに、江戸時代をひとつの帝国に例える見方があるのはそのためですね。今後世界のお手本になるべき日本文明があるのに、政治家が史上最低ときては・・・やれやれwww
Posted by トラネコ at 2012年01月22日 01:17
日本人は単一民族じゃないですね。
むしろ単一だったら遺伝子異常が多くなってたでしょう。
http://genelife.jp/haplo/9types.html
Posted by 774 at 2015年06月04日 09:36
774様
単一か多民族かはその定義によりますね。
Posted by トラネコ at 2015年06月05日 03:24
 
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